「中年童貞」:「通説」のその奥に・・・・2011年06月16日 00:42

中年童貞〜少子化時代の恋愛格差〜(渡部伸:扶桑社新書)

いろいろとルサンチマンが溜まっているせいか、酔った勢いで「非モテを慰める」系の本をいつの間にか十数冊アマゾンで買ってしまったでござる。
行き帰りの電車の中で手当たり次第の2冊を読んでみました。

まず悪い方から。「奪われた性欲(今一生:マイコム新書)」目次だけ見て非常に腹立たしい気持ちになりました。(写真の左)
詳しく思い出すのも腹立たしいので乱暴に本書に書かれているであろう内容を説明すると「何でもかんでも草食系男子のせい」。てめぇ草食系男子を論じるならばそもそもの定義(深澤真紀)を尊重しろ、と思いました。
で、最後の結論部分だけ読むと「体を鍛えろ」。そんな脳筋で世の中が解決するんなら世話ねーよ。

目次だけ見て内容を全否定したい気持ちになった本は、生まれて初めてです。缶スプレーで落書きしてからびりびりに引きちぎって、グッチャグチャのギッタギタにしてトイレに放り込みました。トイレットペーパーが切れた時の代わりにする予定です。
こんな糞書書いてる暇あったら、バブル(今一生は1965年生まれ)は二十年来放置の「泡踊り」の敗戦処理でもやってろってんだ。胸糞悪い。


えーとすみません。激しく取り乱しました。続いておすすめの本。

「中年童貞〜少子化時代の恋愛格差〜(渡部伸:扶桑社新書)」。全国童貞連合なる団体の発起人です。作者は「喪(モテない)」ではなく「鯛(モテないけどモテたい)」の属性ですが、自分同様いろいろズレていたり空回りしていたり(本書の至る所に出てくる括弧書きにその傾向が顕著に出ています)するところがユーモラスであり、残念です。
まぁそんなアンニュイな感じで読んで行ったのですが、最後に読んだ第四章に差し掛ったところで、思わず姿勢をただしました。

章立ては「中年処女」。新聞記事になった「全国童貞連合」の記事を読んだ、恋愛経験の無い女性の投書から章が始まります。
一通り読んでみて問題の深刻さ(男性は「非モテ」を嗤える「逃げ道」があるが女性にはそれが無くシャレにならない)と、作者の持つ自分の立ち位置だけではない多角的な視点(例えるなら「男性が受けるDV」に理解を示せる人の持つ視点」)とに心を打たれました。
自己ボケツッコミ上滑りな点はありますが、この一章があるだけで、本書は社会一般で理解されている「通説」のさらに奥に切り込んで産み出された、問題の本質的な解決に接近できる「良書」だと思います。

作者のスベり具合含めて、マジおすすめ。