牛窪恵「恋愛しない若者たち」2015年10月30日 23:32

牛窪恵「恋愛しない若者たち」
牛窪恵「恋愛しない若者たち」を行き帰りの電車の中で読んでいました。
自分自身、結婚するまでずっと恋愛経験が無くて、コミュニケーションが苦手なコンプレックスを持っています。
そんな時、森岡正博の「草食系男子の恋愛学」を読んでというか縋って必死にコミュニケーションをサボっていたツケを埋め合わようとした苦い記憶が、今も鮮烈に残っています。
コミュニケーションが苦手で逃げていたのは確かに自分が悪いけど、その事で受けるデメリットはサボりの総量に比べて過大ではないか?自己責任のみでは無く社会でも解決が図られるべきではないか?という問題意識から、この本をチョイスしました。

早速読み始めたのですが、最初から自説展開に都合の良い新語乱発で、ちょっと胡散臭い感じはあります。「恋愛(ラブ)レボリューション」って何だよThe end of genesis T.M.R. evoナンチャラの歌の歌詞かよ、と思いました。
大学の先生が「既にある言葉に当てはめようとせず新語を乱発するのイクナイ」とゼミで言っていた事を思い出します。

しかしこの本、論拠となるデータや出典がぎっしり詰まっており、それも論と根拠とがしっかり結びついており、読んでいくうちになるほどと思わされていきます。
この情報量の多さの割に頭に入ってくる感覚、電子媒体ではなかなか見られず、紙媒体ならでは、という気もしてきます。

この本では最近の若者の恋愛傾向、社会傾向と平安時代から今に至るまでの恋愛や結婚の流れ、そして問題と代替案の提案、という流れになっています。
本を通して読んでみると、今の若者が「チャレンジした結果喪う」事が非常に多くまたそれに相当の畏れを抱いている事、情報化社会(懐かしい単語ですね)が大化けして、人の行動判断に予期できない影響を与えている事、女性だけでなく男性も性差による生きづらさを抱えて動きにくくなっている事が挙げられます。
特に、若い男性が女性から評価されない流れ等は読んでいて不憫に思えてなりません。

そんな経緯で、最後の締めとなる結論は「恋愛と結婚の切断」と(乱発気味だけど)恋愛経験の代替案としての「連帯結婚」の導入。
コミュニケーションスキルを要し、失敗すると喪うものが大きすぎる恋愛に頼らずに結婚する提案がなされています。なんだかすごく納得。
自分が求めていた「コミュニケーション能力の欠落を社会的に補える絆づくりへのアプローチ」の一方法が書かれています。

しかし、あとがきの最後の最後、「でも恋愛って、楽しいものだよ」???
本当の最後に「* ゚・*:.。.:*・゜+ d(*´∀`)b うそです +.:*・゜゚・*:. *」を咬まされなような微妙な気分になりました。。。