今なお国鉄〜宇都宮線新聞輸送 ― 2016年01月23日 18:33
昔々、長距離を走る列車には「荷物車」が連結されており、乗客の手荷物を預かって荷物車で運んだり、宅配便のような感覚で荷物を送ったりする輸送が行われていました。
時は経て、当時の物流を担っていた国鉄は潰れて民営化して間もなく30年、そのような話はもう既に昔話として語り継がれるばかりになってしまいました。
しかし、そんな今日でも、鉄道を使った荷物輸送が行われています。それも一番都心に近い場所で、昔ながらの国鉄のやり方を想像以上に色濃く引き継いで!
上野駅午後、13番線と14番線の間にある、使われていなさそうなホーム。
昔は旅客と荷物とを分けるために使われていた荷物専用ホームで、今となっては全く使われなくなっている・・・ことはなく、新聞を満載した台車が列車の入線を待っています。
つまり、「現役」!
毎日新聞のサイトにも記述されてありますが、宇都宮線及び高崎線沿線には、夕刊を運ぶために今なお鉄道が使われております。
以前は専用の荷物電車を使用しておりましたが、ここ最近は普通列車の一番最後の車両の約半分を締め切り、荷物を載せています。
荷物を運ぶのは台車とターレットと呼ばれるバッテリー式の運送機械。乗客の間を縫って荷物ホームに移動していきます。もうこの時点で国鉄感全開です。
列車が横付けされると、スタッフ諸氏が手際よく目的地別に荷物を列車に積み込み。
この光景、まさに国鉄時代の荷物輸送そのものではありませんか。
昔もこうやって荷物を積んでいたことを考えると、感慨しきりです。
積み込みの様子を反対から。
今では夕刊を取る人も少なくなり、コンビニ売りはコンビニでの販売ルートが確立されていることもあり、列車で運ぶ荷物もだいぶ少なくなりドア周りだけで納まる程度になってしまいました。
それでも降ろす駅ごとに荷札が貼られた「荷物」がドカドカと車内に積まれていくのは、やはり国鉄時代の荷物列車のそれと変わりありません。
この列車は宇都宮行きですが、多くの新聞の行き先は「矢板」や「黒磯」と書いてあり、これらはこの列車で宇都宮まで運ばれた後、後続の上野東京ライン熱海発黒磯行きの電車に積み替えられて目的地まで運ばれて行きます。(下写真)
いやいや、鉄道を使った荷物輸送は現在再び脚光を浴びていますが、現在行われているものがここまで昔ながらのやり方を踏襲しているとは思っていませんでした。
本当に「今なお残る国鉄」を再発見したようです。
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