DL&SLもおか水戸線直通!2017年04月23日 03:13

今を去ること10年前の2004年春、真岡鐵道の「SLもおか」が、SL復活運転10周年を記念して、かつて直通していた水戸線の小山から延長運転され、大きな話題になりました。
会社間を跨ぐイベントということもあり、関係各方面の調整も複雑を極めたものと推察されますが、結局この延長運転は継続することなく単発のイベントに終わっています。

以来17年。あの「SLもおか」小山延長が、5月に「DL&SLもおか」として再び実現することになりました。
2018年春の「栃木ディスティネーションキャンペーン」の1年前を記念して「本物の出会い 栃木」春の観光キャンペーン(プレDC)が開かれていますが、その中の追加イベントとして突然発表されたものです。

今回は水戸線内はディーゼル機関車が牽くとのことで、2004年の時のSL牽引からだいぶグレードダウンしておりJR東日本のやる気の無さを嘆く声も聞こえてきそうですが、かつて全国各地で普通に走っておりながらほとんど誰の注目も浴びずに消えていった「ディーゼル機関車の牽く50系客車列車」がJR線に復活するのです。
誰がこんな復活劇を想像できたでしょうか?集え全国の50系客車ファン!です。

そうじゃなくて♪

今回の復活劇は、来年2018年のSLもおか延長運転のテストというか試金石を兼ねていると想像されます。
まず「デスティネーションキャンペーン」自体が、JRグループ旅客6社と自治体・地元観光事業者等が共同で実施する大型観光キャンペーンであること、にも関わらず栃木県東部にはJR線が無く「デスティネーションキャンペーン」の恩恵を受けにくいといった問題を抱えていること、しかしながら栃木県東部には第3セクターの真岡鉄道がおりSL運転の実績がある、といった地域的な背景があります。
で、真岡鉄道が保有するC11は、JR東日本管内でも多数の運転実績があり、2004年のような水戸線直通も技術的には可能ですが、時代は10年以上変わって安全に営業運転するためには、素人が思いつく限りでも、以下に示す問題を解決する必要があるように考えられます。

(問題1)水戸線の保安装置がATS-Pに変わっており、どうやってC11にATS-Pを積むのか?
(問題2)水戸線の列車無線がデジタル列車無線に変わっており、どうやってC11と客車にデジタル列車無線を積むのか?
(問題3)水戸線内を運転できるSL運転士の確保が必要。運転手をJR東日本持ちにするにしろ真岡鐵道持ちにするにしろ、当時の運転経験者が乗務できるとは限らず、また当時とはJR内の内規が大きく変わってそうなので、再教育が必要と考えられる。
(問題4)当時とは社会情勢が大きく変わっており(最も端的なのは「撮り鉄のマナー」への眼差しが格段に悪化している)、沿線警備も改めて検討しなければならない。
(問題5)これらの問題を「誰が、誰のお金で解決して、その成果は最後誰の持ち物になるか」という整理が必要。
(問題6)これらの関係者間の調整が案外面倒。 県跨ぎのイベントであり、C11は真岡市の所有物であり、JR東日本の社内もキャンペーンを企画する大宮支社と実際の路線管理をする水戸支社と複数プレーヤーがおり(今回の記者発表が大宮支社単独で行われたことが気になっています)、調整の負担が想像以上に大きいと考えられる。

逆に言えば、今回の「DL&SLもおか」がどのような結果を迎えるかで、今後の対応(具体的に言えば来春のキャンペーンで何が企画されるか?)が分かれると読んでいます。
関係者の多くは、我々が思っている以上にやる気になっていると考えられるので、あとは我々利用者やファンがどのような反応を示すか?大変注目しています。

おまけ:鬼怒川河川敷で撮ったSL列車の露払いの普通列車。編成が先頭車改造車とクハ401-51を含むK522編成というのがネタ要素満点ですが、ここからカメラを構えるファンもまばらで、今思えば大変牧歌的な1枚が残りました。