失われた北の鉄路の面影を求めて〜夏の北海道旅行4日目_旧狩勝峠と根室本線廃線部2025年07月16日 20:53

奮の旧士幌線タウシュベツ川橋見学から明けて翌朝、今回の旅行の廃線巡りの最後に、旧根室本線狩勝峠を選びました。
かつての根室本線は、国道の狩勝峠に沿って敷かれており、現在の高速道路沿いの狩勝トンネルとは異なったルートでした。この旧狩勝峠は、鉄道の難所であると同時にいわゆる「国鉄三大車窓」にも選ばれました。

今回の旅行ではトマムに宿を取りましたので、トマムからレンタカーを走らせて狩勝峠に向かいます。
最初は一旦峠を降りて、狩勝峠1号目付近にある旧新内駅を訪問。
写真は旧新内駅
ここは狩勝峠の麓の駅で、駅周辺はミニ鉄道の体験乗車が出来ると共にかつてSLホテルとして営業していた列車が残されております。
写真は旧新内駅の保存列車
SLホテルは、帯広機関区に配置され昨日訪問した士幌線でも使用されていた9600型蒸気機関車と20系客車とが使用されておりました。20系客車は狩勝峠にはあまり由来のない客車ですが、注目すべきは一番後ろのナロネ22153号車。かつての寝台車では最上級の一人用個室「ルーメット」が残る日本最後の現存車です。個室寝台がまだまだ庶民には遠く手が届かなかった時代の客車です。
蜂がいて近づいての写真が撮れなかったのが心残りでなりません。

車を引き返して今降りてきた峠道を登り、5号目あたりにある「鉄道遺産」の標識が目印の駐車場があります。ここが旧根室本線狩勝峠の大カーブです。
写真は旧根室本線狩勝峠の大カーブ
旧狩勝峠は、25‰(1km進むと25m上がる)の急勾配に加え、急カーブで曲がりくねった路線を走るため、鉄道の難所と言われており(貨物列車などは蒸気機関車を前後に2両連結しなければ走れなかった)、昭和41年に整備された全く別ルートの狩勝トンネルの完成が急がれました。その急勾配・急カーブの配線痕が国道からくっきり分かる場所がここ。確かに廃線から60年近く経つ今日に至っても、まだ自然に還り切ることもなくその爪痕を山肌に残しています。
写真は現地にあった、かつての大カーブの紹介掲示板

最後は狩勝峠の頂上。
ここは鉄道はトンネルで通過してますが、かつての「国鉄三代車窓」の、十勝平野を山から望むパノラマを味わうことができます。
写真は狩勝峠の頂上から見る十勝平野

これで今回の旅行の廃線巡りは終わり・・・となるはずですが、延長戦があります。
写真は幌舞駅ホーム
写真を見てピンと来た方もいらっしゃるかもしれません。
根室本線の一部区間は、沿線で起きた水害から復旧できず、2024年に富良野〜狩勝トンネル間が廃線となりました。その沿線には幾寅駅があり、ここは1999年の映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケが行われました。映画には興味がなかったので全くのノーマークでしたが、家族サービスで近くの道の駅に行った際、偶然「発見」しました。
写真は旧根室本線幾寅駅
ここは、映画のロケで使われた駅舎・列車・建物が保存されており、映画で表現された昭和時代の面影がそのまま残されていました。
写真は「鉄道員」ロケ仕様の気動車
最後は、隣の落合駅。ここの駅前もだんだん人口が減りつつあります。昨日見た士幌線末端部の状況が脳裏をよぎりました。
写真は廃線になった根室本線落合駅