上野東京ライン〜開業のその先を読む2015年03月08日 08:00

いよいよ1週間後に迫ってきた「上野東京ライン」の開業。
東海道線と東北線・高崎線が直通運転し、常磐線も品川まで乗り入れるようになり、近郊電車の運転の仕方が大きく変わります。

どんな列車が直通するか、昨年冬のJRの発表で明らかになり、さらに先日より詳しい情報が載っている改正時刻表が発売になりました。ワクワクする気持ちを抑えていろいろページを眺めています。

いろいろページを繰っているうちに、少しずつ疑問が増えてきます。特に気になったのは以下の2点。
①開業時点ではピーク時間帯に「1時間あたり15本(東北線5本、高崎線5本、常磐線5本)」運転されるのが、開業1年後「1時間あたり20本」になると言われているところ、増分の5本がどの路線に配分されるのか?
②今回改正では朝夕ラッシュ時間帯の直通運転が行われず沿線自治体から苦情も出た常磐線中距離電車(青い帯の電車)が朝ピーク時間帯に上野東京ラインに乗り入れる余地があるのか?

「来年のことを言うと鬼が笑う」といいますが。
病院の順番待ちでヒマでしたので、ノートパソコンを持ち込み、時刻表の内容を書き写してツラツラと考えてみました。



考える材料は、JTB時刻表に載っている「上野東京ライン」の時刻表。
この特集ページを東北線・高崎線・常磐線の全中距離電車・快速電車の時刻と、上野駅・東京駅のホーム番線が書かれておりますので、まずこれをエクセルに転記。
その後、上野東京ラインの増便にあたり一番のボトルネックになると思われる「上野駅」に注目。上野駅のホーム毎にどの列車がどの程度「ホームに居座っているか」、また、その前後の時間「どこに居座っているか」を別のエクセルファイルに転記。

上野東京ライン開業後の上野駅上り時刻

その結果出来たのが、上の表です。
「上野駅に着く上り列車」が、「どこの線路をどのくらい占有する」かを1分単位で大雑把に整理したものです。
表の左が到着順序、表の中央が各ホーム別の在線時間と在線する列車番号、表の右が上野東京ライン(東京方面)の発車順序と折り返し下り列車の発車順序。色は緑が東北線、オレンジが高崎線、薄青が常磐線快速電車、濃い青が常磐線中距離電車。

まず「上野東京ラインの発車順序」を見ると、多くの列車が3分おきに発車していますが、「6分以上の列車間隔が開いている」空間が、上野到着8:00〜9:00の最ピーク時間帯で5本分あることが分かります。「3分おき発車」が運転間隔の限界、と考えるとこの「5本分の隙間」にそのまま増発列車が来ることが考えられます。

また、今回東海道線・東北線・高崎線・常磐線のダイヤが全面的に変わったところ、また来年すぐ全面的に替えるとは考えにくい(運転士・車掌・車両運用・整備順序その他職員でないと知り得ないところまでいろいろ変更しなければならず、作業時間やコストがかかる)ため、今回改正時点で「5本分の隙間」をどう埋めるかはJRの中でも検討済みである、と考えられます。
よって、よほどの事がない限りは、いまの運転パターンは大きく崩さずに来年春は増発される、と読んでいます。



独断ですが、このような2つの前提条件を想定したうえで、「5本分の隙間」にどんな列車が入ってくるか、想定してみました。
その結果が「上野駅ホーム」にある赤枠の6本の列車。これらは上野駅の地上ホームに到着し、そのまま回送列車になる(折り返しの下り列車が設定されていない)の一部が、来年はそのまま品川行きになる、と考えられます。
東北線が追加2本(8:07上野着、8:32上野着?)、高崎線が(8:38上野着、8:47上野着)、常磐線中距離電車が追加1本(8:28上野着)、となりそうです。

しかし、この考えだと数点問題があります。
①8:58前後にある東京方面への「枠」を埋める列車がない(この時間上野駅に到着する列車は、すべて折り返しの下り列車に使われてしまう)
②他に代替ルートがなく、上野東京ラインしか行き場の無い常磐線の増発が感覚的に少なすぎる(開業時は輸送力に優れる快速電車のみ5本を乗り入れるようにしていますが、乗客の輸送人員と代替ルートを考えると、常磐線で大きな混乱が発生するおそれがある?と見ています)
③常磐線からの直通列車は「中距離電車1本」が読み取れるが、輸送力確保の観点から中距離電車の直通はさせず快速電車を直通を増やすのか、茨城県および県内自治体の強い要望に応えて中距離電車の朝ラッシュ時間帯の直通を始めるのか、JRの姿勢が読めない。
④そもそも常磐線快速電車は、上野駅からそのまま回送する列車が設定されておらず、時刻を組み替えないと増発できない。

「上野東京ライン」に入る常磐線快速電車(裏辺研究所より転載)

以上より、来年度の増発時、常磐線快速電車のみは再度時刻の大幅見直しを行った上で、優先して(上で書いた「常磐線分の増発は1本」より多く)上野東京ラインの増発に充てることになるのではないか?と読んでいます。
また、③に対するJRの姿勢が読めず、常磐線の中距離電車が朝の直通を始めるのかは、まだ想像がつきません。

コメント

_ NAL ― 2015年03月08日 10:52

 常磐線の中距離列車が交直両用の「E531系」である点が運用上のネックになるのでしょうね。
 編成を増備するのが一番の近道なのでしょうけれども、製造コストを誰が負担するのかが課題で、逆に言えばそこがクリアできると案外あっさり解決……なのかも?

_ クロ ― 2015年03月09日 23:22

NALさんコメントありがとうございます。

ネックは車両コストではなく、あと5列車分しか無い増発余地の「配分」とその「イニシアチブ」にあるように思います。

JR東日本は上野東京ラインは全部自社負担で賄うと言い切っており、逆に自治体負担を要求する行為は、自社の判断で動きにくくなる余地が出てしまうので極力排したい、と考えているように思います。ちょうど、JR東海のリニアモーターカーも「全部自社負担」と言い切って整備していますが、同じように「自社でイニシアチブを取りたい」がためのように思います。

増発用の車両代は…まぁJRの中のエロい人がどう転んでもいいように考えているのでしょう(いま水戸線の電車の取り替えでE531系が増備されているのも、「どうとでも転べる」一連の流れの一環だと睨んでます)。

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